文章における著作権について

どうも、solaです。

巷では、東京オリンピックのエンブレム周辺に関して、あるデザイナーが著作権を侵害しているのではないかという話題が取り沙汰されています。私はデザイナーではないので、それについて何かコメントをするつもりはありません。クリエイターのはしくれとして注目しているのみです。

さて、これまで編集やライターといった仕事を通じて、不特定多数の目に触れる文章に関わってきたので著作権に関しては細心の注意を払ってきたつもりです。

とはいえ、完璧に把握できているのかといえばそういうわけでもありません。

そんなわけで、今後のためにも改めて文章に関する著作権について勉強をしてみようと思います。

■著作権とは何か

文芸、シナリオ、論文、音楽、絵、彫刻、写真、ゲーム、ダンス、建築物、映画……などといった学術的・芸術的な作品=著作物を保護する権利が著作権です。

著作物とは「人間の活動として、感情やアイデア、思想を表現して生み出された作品」を指します。著作権は「その著作物の権利(財産権)を持っているのは創作した本人(著作者)ですよ」ということを保証しているわけです。当然ですが、著作者本人は著作物(作品)を自由に利用できます。

ちなみに、著作権はベルヌ条約と呼ばれる国際法を元にして各国の著作権法で保護されています(もちろん、ベルヌ条約を採択している国に限ります)。ベルヌ条約において、著作権の発生は無方式主義が義務付けられています。なんのこっちゃということですが、ようは著作権は創作された時点で発生するということです。どこかの機関に届け出で登録したり、コピーライトマーク(よく見る©ってやつです)をつけたりしなくても、生み出された時点で著作権は著作者に発生するわけです。

日本では著作権の登録が可能です。これは著作権の発生とは別物で、念の為、自分がその作品の著作者であると証明しておくというものです。万が一、著作権で争うようなことがあった場合に、対抗手段の一つになりうるわけです。また、コピーライトマークも著作権の発生とは別です。現在では方式主義(届け出、登録が必要)の国などで著作物を守るために慣例的に表記するものといった立ち位置です(この辺りは細かいので興味があれば調べてみてください)。

■著作権によって保護されないもの

次に著作権の対象にならないもの、つまり著作物に当たらないものをいくつか挙げてみます。これが論争の種になったりします。

・著作物の範疇にないもの

当然なんですが、前述の定義に当てはまらないものは著作権で保護されません。「こんにちは」という一般的なセリフ(表現)に著作権は発生しないのです。

・単なる事実の報道

「◯月◯日 ☓時☓分 ◯◯にて交通事故発生」みたいなものは著作物には該当しません。そこに思想や感情が介在しないためです。

ただし、事実を元にして、取材を行ったり考察されて書かれた新聞記事は著作物です。

・保護期間の切れたもの

著作者の死後五十年過ぎたものは著作権の保護の対象となりません(著作物によって異なります)。そんなわけで、古い小説が「青空文庫」などで無料で読めるわけです。

・引用がメインになると著作物と認められない

特に論文やウェブサイトでのハウツー記事に多いですが、他人の文章(著作物)の引用自体は認められています。

ただし引用として認められること(引用文の範囲が分かる、引用元の明記)と、引用されたもの自体がその作品においてメインでないことが重要です。

人様の著作物の引用がメインになってしまうと、そこには独創性がないとされ著作物とは認められません

ちなみに、編纂したものについては著作権が認められるものがあります。例えば、辞書。言葉や意味、フレーズは引用でありますが、配置などに独創性が認められるのです。

・アイデアやコンセプトは著作権で保護されない

料理のレシピそのもの(ハンバーグを作る手順)とか、小説のネタ(着想、発想、おおまかなテーマ)とかそういったアイデアやコンセプトのようなものは著作権保護の対象になりません。アイデアそれ自体は活動結果としての創作(作品)に当たらないというのが定説です。

料理のレシピを他人に伝えるために独自に文章を書き、写真を取ってまとめたものや、小説(あるいはシナリオ)にて実際に文章として表現されたもの(フレーズ)は創作物となるため、著作権保護の対象となります。

ようは、アイデア・コンセプトはOK、具体的な表現(フレーズ)はNGというわけです

小説、漫画、アニメなど、ネタや発想が似通っているものってたくさんありますよね。「物語の種類はシェイクスピアがすでに出し尽くしている」などという有名な言葉もあるくらいです。例えば「普通の高校生男子が異世界に飛ばされて、ヒロインとともに異世界を救う」なんて、SF小説、ライトノベル、漫画に昔からありふれているネタですよね。

とは言っても、何がアイデアで何が表現なのかについて、キッチリと区別することも難しいです。そんなわけで今まで何度も裁判が起こっています。その辺りは判例を調べてみると面白いですよ。判例を見るに、やはり原則として「具体的な表現の盗用」でなければ問題がないという方向のようです。

※アイデアとはいえ独創性の高いものであれば著作権とは別にして民事で訴えられることもありえます。

■何をもって著作権侵害とするのか

まず、著作権については親告罪です。つまり、盗作された側が訴えない限り罪にはなりません(正確には、訴えてかつ盗作と認められた場合に罪となる)。

そして、原告側は以下の三点について立証する必要があるのです。

1.類似性

似ているか似ていないかということです。前述のとおり、文章であれば具体的な表現(文章、フレーズ)を取り出し比較して類似性を指摘します。当然、創作部分(=著作物とされる部分)が似ているかどうかです。ばからしい例ですが、お互いの小説の中で「こんにちは」というフレーズがかぶっていてもそれはありふれた挨拶なので類似性は認められません。他のありがちな表現や一般的なフレーズも同じくです。

2.利用行為

私的利用は著作権違反にはなりません。商用利用、つまり盗作(が疑われる)でお金を儲けたり、もしくは盗作したものを無料で頒布することで、本来購入されるはずだった盗作元著作物の被害などを指摘します。どこまでが私的で、どこまでが商用利用なのかが、よく争点になります。

3.依拠性

一言で言ってしまえば、被告(盗作したと疑われている側)が原告(盗作されたと訴えている側)の著作物を知っていたかどうかということです。同じ時代の人間が同じアイデアで作った創作物なので、どうしても似てしまうこともあり、依拠性がなければ著作権違反とはなりません。なので、その作品を知っていて盗用したかどうかなどが争点になります。

これは判断の難しいところです。当然ではあるのですが、前述の「類似性」とも関わってきます。いくら「そんなもの知らない!」とつっぱねても、まったく同じ表現が何度も現れるのであれば、著作権侵害となる可能性が高まります。絵は分かりやすくて、トレースなどは言い訳ができません。それから原告側の作品が世界的に有名な場合、同じジャンルのクリエイターがそれを知らないとは思えないということで依拠性が立証されます(例えば、ディ◯ニーのミッ◯ーをほぼパクって新たなキャラを生み出した場合、まさかキャラ物を作るクリエイターがディ◯ニーを知らないわけがないというようなことです)。

さらっと説明しましたが本来はもっと細かく規定されています。著作権を侵害しているかどうかの判断はかなり難しいもので、いろいろな場所で議論されています。

■まとめ

今回、「文章」についての著作権を想定した記事となりました。著作物によっては、著作権での保護や扱いが他と異なる場合もありますので、文章以外のクリエイターも自分の創作物について一度調べてみるといいかもしれません。

TPPの件で著作物の非親告罪化が話題になっていますが、現状、著作権は親告罪です。訴えてそれが認められない限り罪とはならないわけです。アニメや漫画の二次創作なんかは、諸々の理由から許されている例ですね。

今回の記事はあくまで、著作権についての問題です。パクリ(とくに法的には問題ないが、アイデアなり見た目なり表現なりかなり似せているもの)問題についてはここでは語りません。ただ、クリエイターにとってこの辺りは悩みどころですよね。確実にパクられているけれども訴えにくかったり、逆にパクったつもりはないのにパクリ認定されたり……。それ以前に、法的に問題がなければパクってもいいの?ということも。クリエイターとして視聴者、読者、同業者といった世間に対して恥ずかしくない創作を心がけたいと思いつつ。

それでは。

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